2024年~2025年の年末年始は「最大9連休」の休暇で英気を養い、晴れやかな気持ちで新年を迎えた人も多いことでしょう。一方で、寒さのピークで風邪やインフルエンザの流行に加え、年末年始の疲れ、仕事始めで生活リズムを元に戻さなければならず、体調を崩しがちな時期でもあります。
自律神経の専門家で、不調との向き合い方やツボの取り方をSNSなどで発信しているTC鍼灸マッサージ院・院長の森田遼介氏によると、来る春の調子を決めるのは「冬の土用」の過ごし方次第……。
そこで前回の「なんと、たった5秒で「手足の冷え」を解消する「凄いツボ」の場所…!予約殺到の鍼灸師が教える」に引きつづき、今回は、100通りの簡単なセルフケア(養生)の方法を解説する同氏の著書『自律神経にいいこと大全100』(ワニブックス刊)より一部を抜粋・編集し、胃腸を労わるべき土用のおすすめ食材と、1月から始めたい花粉症対策について紹介します。
次の季節の調子を決める土用
季節の変わり目=土用の過ごし方で次の季節の調子が決まります。土用とは、立春・立夏・立秋・立冬の直前18日間の季節の変わり目を指す言葉です。
立秋前の「夏の土用」が有名ですが、春・秋・冬にも土用があります。立春前の「冬の土用」は、2025年は1月17日から2月2日までの期間にあたります。
土用は、五臓(ごぞう:東洋医学で肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)の5つの臓腑のこと)の中では「脾」と関係が深く、主に消化器系の働きと考えて良いでしょう。
土用は、次の季節に体が対応できるように内臓を整えて栄養を補給するべきシーズンです。東洋医学では、あらゆる内臓の働きの中心は脾であると考えられています。簡単に説明すると「まずは口にした物を消化して吸収できなければ何も始まらない」ということです。
■土用のおすすめ食材
土用におすすめな食材は、かぼちゃやさつまいも、栗、生姜、トウモロコシなどの「黄色い食材」です。梅干しもおすすめで、食欲増進、のどの渇き、痔の予防に効果があります。
体調の良くない時は、できるだけ胃腸に優しい食事を心がけましょう。トウモロコシの種実は表皮が固く消化しにくいため、胃腸が疲れている時はスープなどにしてください。
また、土用の丑の日に鰻を食べる習慣がありますが、健康な状態では栄養補給になって良いのですが、胃腸が疲れている時にはパンチが強過ぎるので控えた方がよいでしょう。
土用の養生は、生活リズムを崩さない、足を使った軽い運動、腹式呼吸、日光浴、入浴などを意識しましょう。
舌でわかる胃腸疲れのサイン
特に、冬の土用は胃腸が疲れがちな時期ですので、胃腸のケアは重要です。年末年始のつき合いで食べ過ぎ・飲み過ぎてしまった……と心当たりのある人も多いのではないでしょうか。
胃腸疲れのサインとしては、舌の苔こけが白くベターっとしている・下の縁に歯の痕がある、すねの横にある前脛骨筋(ぜんけいこつきん)のある筋肉が張る、口内炎・口角炎、唇の色が悪い、吹き出物、ゲップが多い、便やおならが臭い、便が重く水に浮かばない、昼食後の強い眠気などがあります。
1月7日に七草粥を食べる習慣がありますが、野草を入れたお粥は胃腸を休める薬膳料理です。寒くなると便秘や下痢、腹痛に悩まされる人は、1月7日だけに限らず、お粥や前述の食材を意識的に摂り、胃腸を労わりましょう。
■花粉症対策にれんこん
冬の土用が過ぎると立春を迎えます。土用の過ごし方で次の季節の調子が決まると言いましたが、つまり、春の花粉症も飛散ピークの前に対策を取ることで症状を和らげることができます。
今や国民病といわれるほど、お悩みの方が多い花粉症。鼻水や目のかゆみのみならず、全身の倦怠感や頭痛、のどの痛み、末端の冷えなどつらい症状に発展することもありますが、花粉症の症状は、食事で緩和することができます。
れんこんは、花粉を攻撃するIgE抗体という物質の生成を抑えて、花粉症を起こりにくくします。発症してしまった花粉症の症状をやわらげる効果もあり、抗酸化作用や炎症鎮静作用からのどの痛み、鼻水を抑える効果があるのでおすすめです。